2004 年 19 巻 p. 73-83,172
マイノリティを優遇する選挙区割りを巡る訴訟では,数は少ないが,連邦最高裁によって結果的に違憲と判示されなかったものが存在する。しかしながら,違憲判決における最高裁の饒舌さとは対照的に,合憲とされたものでは,区割りを行う州や,マイノリティ有権者への示唆となるようなことは語られていない。本稿は,結論においてマイノリティに有利な結果となった訴訟を検討し,最高裁が語らなかった合憲となるための基準をある程度明確にしようとするものである。その結論は,州が「主導権」を握って作成したと思われる区割りについては,マイノリティを優遇する区割りであっても,その形がいびつなものであっても,投票権法や合衆国憲法に反しない限り裁判所は区割りを合憲と認めるというものである。