2007 年 22 巻 p. 5-16,194
2005年総選挙は,自民党が大勝した。この選挙では,メディア,特にテレビが選挙結果に大きな影響を与えたことや,政権のメディア•スピンの巧みさが「小泉劇場」といった言葉で多く指摘された。しかし,小泉政権がテレビ政治,なかんずく選挙時のテレビの「扱い」に,本当に巧みだったのではない。本稿では,テレビの放送時間のデータなどを用い,05年総選挙放送の量的な特異さ,すなわち,(1)テレビ放送量の大きさ,(2)テレビ放送の時期的な「ずれ」と持続,(3)民放とワイドショーを中心とした放送量の拡大を確認すると同時に,03年総選挙放送との質的な比較の中で,05年総選挙においては選挙が統一感のある「戦い」として表象され,それが視聴者=国民の高い関心を招いたことを確認した。