日本原子力学会誌
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チェルノブイリ事故から10年健康影響評価に関わる日本の国際研究協力
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1996 年 38 巻 3 号 p. 184-204

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抄録

チェルノブイリ事故が発生してから今年で10年の歳月が過ぎようとしている。事故直後から旧ソ連は近隣諸国や米国との間で多彩な研究協力を行い,この事故による放射線被曝の健康影響に関する共同研究の成果が公表されている。チェルノブイリ事故に関するわが国と旧ソ連との研究協力は必ずしも敏速かつ円滑に発足したわけではなく,研究協力が開始されるまでに数年を要した。以来,今日まで旧ソ連の体制の変化を含め紆余曲折を経て,政府および民間レベルでの国際研究協力が多様な形態で続けられている。健康影響についての評価は,今後の調査研究に待つところが多いと考えられ,特に低線量,低線量率被曝の影響という観点から貴重な成果が期待される。研究協力により得られた経験を基に,今後のこの国際研究に関し,協力のあり方について考えたい。

© by the Atomic Energy Society of Japan
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