化学プラントや原子力プラントの機器,配管に使用されているオーステナイト系ステンレス鋳鋼(ステンレス鋳鋼)は,結晶粒が粗大であり,材料に結晶異方性があるため,一般に炭素鋼と比べて超音波探傷検査が困難である。このステンレス鋳鋼の超音波探傷検査に関して,より効率的な探触子の設計,適切な探傷条件,探傷信号処理法,超音波による材料組織の特定,超音波伝播のシミュレーションの開発の現状を紹介する。また欧州共同体による原子炉容器を始めとした原子力プラント主要機器の非破壊検査に関する体系的な取組活動として, PISC (Program for Inspection of Steel Components)が10年以上前に開始され, 1995年に完了した。このPISCフェーズIIIの活動の一環として行われたステンレス鋳鋼の超音波探傷検査のラウンドロビンテスト(ベンチマークテスト)の結果を紹介し,本検査に関する世界の技術レベルの現状,本検査実施上の要件についてまとめた。