日本原子力学会誌
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「知識社会」と原子力
村田 貴司神田 啓治
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1998 年 40 巻 12 号 p. 946-954

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抄録

原子力が直面している問題を変化する社会の側から考えることは,原子力という広範な技術体系を社会と調和的な存在として位置づけるための条件を明らかにする。情報量と情報伝達手段の急速な拡大を特徴とする知識社会では,「知」が単なる情報以上のものとして社会の中に広がり,解釈され,様々な立場から実践される。一方,個人の側では,付加価値の高い情報や,非関心領域の情報量は少ないという情報過疎的状況が生じている。この二重構造を有する知識社会では,政策を形成,実施する者には,国民一人ひとりを念頭に置いてわかりやすく説明する責任(アカウンタビリティ)と自己言及努力が求められる。また今後の原子力政策には,技術が社会との関係において,また社会が技術との関係においてどのような状況にあるか,国民一人ひとりが自分の問題として考えることのできる体制を構築し,その判断を踏まえた政策形成がなされることが求められる。

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