日本原子力学会誌
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解説
超音波流量計の導入で, 日本でも原子炉出力向上は可能か?
「原子炉出力向上に関する技術検討評価」特別専門委員会「超音波流量計に関する技術検討評価」分科会 中間報告書
岡本 孝司木倉 宏成
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2007 年 49 巻 1 号 p. 39-44

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抄録

 2005年2月に京都議定書が発効し, 二酸化炭素などの温暖化ガスを極力排出しないエネルギー供給システムの確立が急務となっています。さらに, エネルギーセキュリティーの観点からも, エネルギー資源の効率の良い利用が重要な視点となっています。原子力発電システムは, これらの観点からは優れたシステムであり, 日本の電気エネルギーの重要な供給源となっています。米国や欧州をはじめとする, 世界各国の原子力発電プラントにおいては, 原子炉出力向上を実施した数多くの事例があります。原子炉出力向上とは, 原子力発電プラントの安全を損なうことなく, 発電出力を1~20%程度増大することです。このような原子炉出力向上は, 上述の温暖化ガス削減やエネルギーセキュリティーの観点からも有効な手段であり, 海外では積極的に導入されています。日本においても, 給水流量計として超音波流量計を用いる計測不確かさ改善 (MU) 型の原子炉出力向上 (Measurement Uncertainty Recapture) を行うことで, 安全性は全く変わらずに, 0.5~1.7%の原子炉出力向上ができる可能性が高いと考えています。もし, すべてのプラントに約1%原子炉出力向上を適用すれば, 約50万kW (約0.5機分) の電力を生み出すことができます。これは, 二酸化炭素削減の観点からも無視できない量です。

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© 2007 一般社団法人 日本原子力学会
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