日本原子力学会誌
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講演
原子力機器材料の開発の歩みと今後の展望
―室蘭から世界へ
佐藤 育男
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2007 年 49 巻 3 号 p. 184-189

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抄録

 本稿は日本原子力学会「2006年秋の大会」の記念講演の内容をまとめたものである。「2006年秋の大会」は北大で開催され, 北海道も原子力関連で頑張っているところを紹介するために「室蘭から世界へ」というサブタイトルをつけた。
 室蘭製作所は, 白鳥湾と呼ばれる天然の良港の地に民間最大の兵器会社として, 主に砲身と防弾鋼板を国産化するため, 1907年に創業を開始した。写真は, 大正10~15年当時に製造された軍艦用41cm榴弾砲の砲身である。終戦後の民需転換に伴い, これらの製造技術が原子力機器用材料等 (特に高品質鍛鋼品) の製造へ受け継がれた。
 近年, 世界各国では地球温暖化対策およびクリーンエネルギーとして原子力発電の役割が再評価され, 「原子力ルネッサンス」の声が大きくなってきている。新規原子力発電所建設が始まっているこの時に, 安全と信頼が不可欠である機器材料の開発の歩みを振り返り, 更なる信頼性向上へとつなげる材料製造を考えてみたい。

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© 2007 一般社団法人 日本原子力学会
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