2019 年 61 巻 1 号 p. 17-21
日本の核燃料サイクル政策が,不透明になりつつある。高速炉開発に深く関わってきた河田東海夫氏は「将来の化石燃料の生産減退・価格上昇に備えたオプションとしての高速炉技術を保持しておくことは必須」と述べるとともに,「海水ウランを回収すれば軽水炉直接処分で十分との意見もあるが,それでは高レベル廃棄物の処分場面積は高速炉の場合の6倍に増える」と指摘する。また,いったん衰退した技術を復活させることは難しく,「高速炉時代が来た時に日本や米国は,中国に頼らざるを得なくなる」と危惧。「将来世代のために,エネルギー全体を見通した上で十分な知恵を出し合うことが必要だ」と述べた。