2019 年 61 巻 1 号 p. 30-34
六ヶ所再処理工場の化学処理の主工程は実質的に完成しており,現在は新規制基準に基づき重大事故までを含めた安全対策の強化に取り組んでいる。当面はこの工事の完了と本格操業の実現が最も重要であるが,一方,廃炉の増加による軽水炉の発電容量削減との整合性や,プルサーマル対象炉の再稼動,分離プルトニウム保有への理解の訴求など,周辺との関係にも意を用いる必要がある。さらに軽水炉リサイクルの能力の限界を踏まえれば,資源の乏しいわが国の将来にとって切り札となる高速増殖炉とその核燃料サイクルの準備も重要である。