日本原子力学会誌ATOMOΣ
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特集
中性子捕捉療法のためのホウ素薬剤研究開発の進展
ホウ素薬剤が今後の適応疾患拡大の鍵を握る!
中村 浩之
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2020 年 62 巻 1 号 p. 18-22

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抄録

 ホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy:BNCT)は,患者への負担が非常に少ないがんの低侵襲治療法の1つとして注目されている。アミノ酸誘導体であるL体光学異性体(L-BPA)をホウ素薬剤として用いた悪性脳腫瘍ならびに頭頸部がんへの加速器BNCTが承認申請に向けた準備が進められており,早ければ2020年度中に一般的治療法として承認されることが期待される。その一方で,BNCTに有効な薬剤はL-BPA1剤のみであり,L-BPAが有効でないがん患者に対し新しいホウ素薬剤の開発が急務である。ドラッグデリバリーシステム(DDS)と融合した次世代ホウ素薬剤の開発が今後のBNCTの適応疾患拡大を握る。

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