膵神経内分泌腫瘍(PNET)は膵腫瘍の3-4%を占めるまれな腫瘍であるが画像診断の発達により発見される機会が増えている。また,膵切除術が安全に施行できるようになったことで,積極的に切除されている。世界的にも症例が集積され,2010年のWHO分類から神経内分泌腫瘍の悪性度分類が改訂され,Stage分類もPNETは膵癌と同じく扱われる。PNETに対しては機能温存をめざした縮小手術も行われると同時に,遠隔転移があっても積極的にcytoreductive surgeryがなされ,ソマトスタチンアナログや抗がん剤,分子標的薬剤により治療成績は改善している。分泌するホルモンによる多彩な病態だけではなく,多内分泌腫瘍症(MEN)1型やVon Hippel Lindau病に合併するPNETに対しては,複数臓器の疾患に対して他科とも協力した総合的な診療が必要である。