日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
甲状腺乳頭癌の至適手術術式について
杉谷 巌
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2012 年 29 巻 2 号 p. 135-138

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抄録

日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会共同編集による『甲状腺腫瘍診療ガイドライン』では,甲状腺乳頭癌(PTC)に対する甲状腺切除術式について,「甲状腺全摘術が,甲状腺葉切除術に比べて,再発・生命予後を向上させるというエビデンスは弱いが,ハイリスクと評価したPTCに対して甲状腺全摘術を推奨する」と述べ,低危険度癌に対しては甲状腺温存切除を容認している。当科における経験では低危険度群の治療成績は甲状腺切除範囲にかかわらず良好であり,最近では患者のインフォームド・デシジョンを重視して治療方針を決定している。一方,高危険度群の治療成績は甲状腺全摘・放射性ヨード内用療法によっても劇的な改善は見込めそうになく,他臓器合併切除なども含めた局所根治手術に加え,新たな治療法の開発が期待される。PTCのリンパ節郭清については予防的側頸部郭清を行わない方針により良好な治療成績が得られている。

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