Official Journal of the Japan Association of Endocrine Surgeons and the Japanese Society of Thyroid Surgery
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
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2012 Volume 29 Issue 3 Pages 175

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本特集は副甲状腺機能亢進症の外科的治療のupdateと題し,主に原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)に対する外科治療の進歩について,やましたクリニック,山下弘幸先生と企画,編集致しました(腎性副甲状腺機能亢進症(SHPT)に対する外科治療のupdateに関しては本誌20:21-25,2012に記載しましたので,ご参考ください)。

HPTの外科治療の進歩で特筆されるのは画像診断の進歩であります。米国で最初にPHPTの診断を受けた,Captain Charls E Martellの話は有名であります。彼はPHPTの診断で計5回のneck exprolationを受けましたが,病的副甲状腺は発見されず,縦隔開創にてやっと病的副甲状腺が発見,切除されPHPTは改善致しました。現在では99mTcMIBI scintigramにて容易に縦隔内副甲状腺を確認できるようになりました。より小さな副甲状腺をその栄養血管を含め確認できるようになり,また異所性副甲状腺の診断確率も進歩致しました。

画像診断の進歩は,PHPTに対する副甲状腺摘出術(PTx)のgold standardであった,bilateral neck explrationよりfocused PTxへshiftさせ,大半の症例は,画像診断で確認された1腺の病的副甲状腺を切除することでPHPTを改善させることが可能となり,低侵襲にPTxが出来る様になりました。しかしながら,少数ではありますが,multi gland diseaseが存在しますので,術前にいかにそれを鑑別診断するかが問題となります。Multi gland diseaseの最も代表的な疾患は,家族性PHPT(MEN type1,2)であります。それらの疾患をどのように診断,対応するかは大きな問題であります。

術中にmulti gland diseaseを見抜き,持続性PHPTを防ぐ為に発達してきたのが,術中PTH monitoringであります。この方法にて,PTxの成功率が改善致しました。

PHPTで現在も解決されず残された問題の一つは,副甲状腺癌です。その発生機序,診断に関してはいまだ完全には明らかにされていません。術前,術中に副甲状腺癌の存在を見抜くことが重要でありますが,必ずしも容易ではありません。切除困難な副甲状腺癌による高カルシウム血症に対してわが国でもCinacalcet HClが使用可能となる日も近いと考えられ,難治性高カルシウム血症に対する治療の手段が拡がることになるでしょう。

以上の様なPHPTに対する外科治療の進歩と問題点について6人のこの分野の専門家にご執筆をお願い致しました。読者の日々の診療のお役に立てれば幸いです。

 

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