2012 年 29 巻 3 号 p. 215-219
膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumors,PNET)は稀な腫瘍であるため,治療方針の標準化が遅れていた。最近になり欧米のコンセンサスガイドラインやプラクティスガイドラインが公表された。日本でもPNETに対する新しい薬物治療が使用可能となり,臨床家の注目が高まりつつある。特に外科治療においては,発見された腫瘍に対する評価に応じて,切除の適応,術式の選択,リンパ節郭清の範囲などを決めなければならない。また遠隔転移がある場合には別途検討が必要である。いずれの場合にも切除による根治の道をまず追求することが重要である。一方,手術のみで治療が完了しない場合には,エベロリムスなどの薬物療法を含む集学的な治療戦略が必要になる。