日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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症例報告
巨大甲状腺腫を呈した頸部悪性リンパ腫の1例
野水 整松嵜 正實片方 直人菅家 康之佐久間 威之伊藤 泰輔渡辺 文明山口 佳子
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2014 年 31 巻 2 号 p. 134-138

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抄録

巨大甲状腺腫の呼吸困難のため受診し,気管狭窄による窒息で死亡した剖検例を経験したので報告する。臨床的には巨大甲状腺腫と臨床経過から甲状腺原発未分化癌や悪性リンパ腫が鑑別診断として挙げられたが,患者が慢性甲状腺炎で治療を受けていたことから特に悪性リンパ腫が疑われた。剖検にて左舌根部,左頸部リンパ節,気管傍リンパ節,甲状腺,気管を巻き込み,気管粘膜,食道粘膜に浸潤する15×8cmの充実性腫瘍で,組織学的にはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(Diffuse large B cell lymphoma, Non-germinal center B-cell like)の像を示した。甲状腺は慢性甲状腺炎(線維亜型)の像で,リンパ腫細胞の増殖・浸潤像は明らかでなかった。本症例は甲状腺周囲組織に発生した悪性リンパ腫で,巨大な甲状腺腫を呈した稀な例である。

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