日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Print ISSN : 2186-9545
症例報告
副甲状腺癌の遺伝子解析とCetuximab・Docetaxel・S-1を用いた治療経験
榎本 圭佑島津 宏樹長井 美樹武田 和也原田 祥太郎阪上 雅治内野 眞也今村 亮一山口 誓司伏見 博彰坂田 義治
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2014 年 31 巻 3 号 p. 232-237

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抄録

副甲状腺癌は,再発や転移による様々な症状を呈することに加え,高カルシウム血症に伴う臨床症状を引き起こし,致死的な経過をたどる場合がある。われわれは高カルシウム血症をコントロールできずに不幸な転機をたどった副甲状腺癌の一例を経験した。症例は62歳・女性。嗄声を主訴に近医耳鼻科を受診。左反回神経麻痺を指摘され紹介受診となった。6年前に左下副甲状腺腺腫摘出術の既往があった。治療前検査にて副甲状腺癌と診断し,全身麻酔下にen blocな切除手術を施行した。病理組織学的検査で,腫瘍は高度な脈管侵襲と被膜浸潤,隣接臓器浸潤,リンパ節転移を認めた。摘出標本のDNAシークエンスではHRPT2EGFRRASBRAFにいずれも遺伝子変異を認めなかった。免疫染色によるEGFR発現は陰性であった。術直後は血清カルシウム,iPTHは正常化したが,術後1カ月後より徐々に高iPTHが出現し,高カルシウム血症の状態へと移行した。多発肺転移,胸膜転移,縦隔リンパ節転移が出現した為,Cetuximab,Docetaxel,S-1を適時併用した化学療法を施行したがPDとなった。高カルシウム血症に対し,補液とゾレドロン酸の投与に加え,合成カルシトニン誘導体製剤の投与も行ったが,高カルシウム血症からの急性膵炎にて術後8カ月で死亡した。患者同意を得た上で遺伝子解析を行い,化学療法を行った経験について報告する。

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