2015 年 32 巻 4 号 p. 234-238
副腎性クッシング症候群はACTH非依存性であり腺腫・癌腫・過形成・異形成が原因となる。本症候群による高コルチゾール血症は生命予後を著しく低下させるため,存在診断は確実に行う必要がある。コルチゾールの自律的分泌能が低い症例や周期性を示す症例では,存在診断が困難となる場合がある。副腎偶発腫瘍の指摘が増加する中,クッシング徴候を示さないサブクリニカルクッシング症候群の診断には注意が必要である。本症候群においては治療の第一選択は手術である。安全で適切な手術を施行するには局在診断が重要となる。典型的な片側性の腫瘍であれば局在診断は容易であるが,両側性の腫瘍では診断は困難となる場合がある。中でも,クッシング症候群と原発性アルドステロン症を合併する場合,局在診断には副腎静脈サンプリングが有用となる。術後管理においては腫瘍摘出直後より生じる副腎皮質機能低下症に対する対策を徹底させることに尽きる。