日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
症例報告
術前診断し,術中に顔面神経刺激装置を用い走行を同定した非反回下喉頭神経の1例
林 昌俊栃井 航也小久保 健太郎丹羽 真佐夫高橋 啓
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2015 年 32 巻 4 号 p. 295-298

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抄録

症例は59歳女性,無症状。生理不順,不妊症で精査された折,超音波検査で甲状腺右葉に3×4×5mmの低エコー不整な結節を認めた。穿刺吸引細胞診はクラスⅢであったが乳頭癌が否定できないため手術を施行した。CT検査では右鎖骨下動脈起始異常を認め,非反回下喉頭神経の存在が示唆された。術中,顔面神経刺激装置で下喉頭神経を検索しながら手術を行った。右下喉頭神経は甲状腺下極のレベルで迷走神経より分岐し,Toniato分類ⅡB型と考えられた。右下喉頭神経を温存し,甲状腺右葉切除術およびD2a郭清を施行した。病理組織検査ではPapillary carcinoma T1a Ex0 N0 M0 StageⅠと診断した。術前画像検査で非反回下喉頭神経の存在を疑うことが重要であり,その際に顔面神経刺激装置を用いることでその走行を同定しえた。

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