日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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Print ISSN : 2186-9545
特集2
原発性アルドステロン症
石戸谷 滋人 青木 大志高橋 正博佐藤 友紀
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2016 年 33 巻 1 号 p. 23-26

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抄録

原発性アルドステロン症(primary aldosteronism:PA)は手術症例が著増している。術前検査・診断は外科(内分泌外科または泌尿器外科)と内分泌内科,放射線科が連携して行う。主に内分泌内科でスクリーニングと機能確認検査を行い,手術の適否が診断され,その後に画像(局在)診断が放射線科でなされる。近年アルドステロン自体が臓器障害を惹起することが明らかになり,従来は別個の併存症と考えられていた循環器疾患や慢性腎臓病(CKD)などが,PAの合併症と認識されるようになった。術前のコントロール事項として,高血圧,低カリウム血症,脳血管・循環器系合併症のチェック,CKDの評価,糖尿病の合併,コルチゾール自律分泌の有無などが挙げられる。術後管理としては,術前にマスクされていたCKDが顕在化してくるので留意が必要である。副腎分枝静脈(支脈)のサンプリングによる部分切除術も試行されている。PAに対する手術法は変化しつつあり,それらに的確に対応した周術期管理が求められる。

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