日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8777
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原著
甲状腺乳頭癌における外側区域リンパ節転移に対する至適郭清範囲の検討
下出 祐造辻 裕之
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2016 年 33 巻 3 号 p. 174-179

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抄録

甲状腺乳頭癌は一般に悪性度は低いが高率にリンパ節転移を認める。頸部中央区域の郭清は推奨されているが,外側区域の郭清は適応やD2aとD2bの選択,予防的郭清の要否などにおいて明確な指針に乏しいのが現状である。われわれは甲状腺乳頭癌における外側区域リンパ節転移の局在部位を頻度別に3群に区分けし評価したところ,転移局在部位別にリンパ節がⅤbやⅦに転移した群はⅤa,Ⅵにとどまる群に比べ転移リンパ節の最大径が大きく個数が多くなり,逆に原発巣のサイズは小さくなる傾向が示された。そこで転移リンパ節最大径/原発巣最大径(N/T比)を算出したところ同じく増大する傾向が示され,ROC曲線よりⅤa,Ⅵにとどまる群のCut Off値は約0.5でそれより低値であれば外側区域リンパ節転移の範囲が有意に狭く,逆にⅦに転移した群は約1.3でそれよりも高値では範囲が広くなる傾向を認めた。以上よりN/T比は外側区域リンパ節転移に対する至適郭清範囲の選択おいて参考となる可能性が示された。

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