日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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症例報告
肺神経内分泌小細胞癌甲状腺転移例
木田 渉中屋 宗雄伊東 明子渕上 輝彦渡辺 健太
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2017 年 34 巻 2 号 p. 127-131

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抄録

症例は76歳,女性。健康診断で左肺野陰影を指摘され,当院呼吸器内科を受診された。気管支鏡での病理組織検査で神経内分泌小細胞癌と診断された。PET-CTで甲状腺左葉にFDG集積が認められ,当科で穿刺吸引細胞診を施行し,肺神経内分泌小細胞癌の甲状腺転移と診断した。頸部超音波検査で甲状腺内に腫瘍が限局しており,気管傍リンパ節・頸部リンパ節の腫大を認めなかった。高齢ではあるもののADLが保たれており,今後腫瘍増大により気道狭窄を起こす可能性も考えられるので,化学療法開始前に甲状腺左葉切除を行った。術後に反回神経麻痺は認められず,術後4日目に退院した。その後,呼吸器内科で化学療法および放射線治療を行い,一旦CRとなったが,1年5カ月で肺の局所再発・肺門リンパ節転移・副腎転移・横隔膜転移が認められ,化学療法を施行している。1年11カ月経過した現在甲状腺再発・気管傍・頸部リンパ節転移は認められていない。肺癌の遠隔転移例ではあるが転移巣増大により何らかの支障を来すことが想定される際はPerformance Statusや手術侵襲,予後などを熟慮した上で外科的治療を検討する余地があると考えられた。

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