2017 年 34 巻 3 号 p. 204-208
症例は82歳男性。近医での左肘皮下腫瘤生検で肺腺癌あるいは甲状腺癌の転移が疑われ当院へ紹介。血液検査では白血球22,820/μlと好酸球34.4%のみ異常値であった。頸部超音波検査で4cmの甲状腺腫瘤を認め,穿刺細胞診の結果は甲状腺癌疑いであった。術前CT検査では,甲状腺右葉から峡部を主体として上縦隔に続く4cm大の腫瘤,左腋窩・胸部下部食道傍リンパ節腫大,皮下・筋内・左腎背側腫瘤を認めた。多臓器転移を伴う甲状腺癌との術前診断で手術を行い甲状腺未分化癌の診断を得た。術後1カ月でLenvatinibを開始し,術後3カ月で白血球数・好酸球数は正常化した。術後10カ月のCT検査では,皮下・筋内・左腎背側腫瘤は不明瞭化し,胸部下部食道傍リンパ節は縮小したが,左腋窩リンパ節や右肺下葉陰影の出現がみられた。同時に白血球数・好酸球数の上昇もみられたが,白血球数・好酸球数が病勢を反映するマーカーになる可能性があると考えられた。