2018 年 35 巻 1 号 p. 1
狭義の原発性アルドステロン症(PA)は副腎腫瘍を扱う外科医にとって最も頻繁に遭遇する副腎腫瘍性疾患である。以前は,関連学会からガイドラインが各々示され,スクリーニング法,診断基準,治療法について施設間,医師間でばらつきが生じていた。2016年に診療法の標準化を目的としたコンセンサス・ステートメントが公表された。PAを扱う外科医は診断に直接携わることはないと思われるが,診断結果を吟味できるだけの知識を常に持つ必要がある。さらに,単純な機能性腺腫によると考えられてきたPAも,分子生物学的アプローチにより別個の遺伝子異常をもつ複数の病態が存在することが判明してきている。また,PAの外科治療成績についても,患者に対する説明において必要事項であり,理解しておく必要がある。
今回の特集においては,上記のトピックスについて,造詣の深い専門家に解説をお願いした。
この特集が読者のこの疾患に対するより一層深い理解の一助になれば幸いである。