日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
アルドステロン合成酵素の免疫染色,超選択的副腎静脈サンプリング,および次世代シーケンサー解析により判明した新規原発性アルドステロン(PA)の病型―若年性非遺伝性PA
西本 紘嗣郎林 泰樹中川 健大家 基嗣
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2018 年 35 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

症例は16歳,女性。8歳時に重度PAを発症し,ミネラルコルチコイド受容体阻害薬を含む薬剤治療を施行したが無効であった。超選択的副腎静脈サンプリングにより,右副腎下部を除く両側副腎から著明な自律的アルドステロン産生が確認された。右副腎下部温存両側副腎摘除術を施行した。術後PAは改善し降圧剤は不要となった。両側副腎皮質は,正常副腎皮質と多発する皮質過形成が混在する所見を認め,過形成はアルドステロン合成酵素強陽性であった。正常・過形成部位からの微量DNAの次世代シーケンサー解析により,すべての過形成部位ではKCNJ5体細胞変異(p.G151R)を認めたが,正常部位では認めなかった。発生学的に中胚葉細胞は左右の副腎原基に分化する。本症例は胎生期早期の中胚葉細胞にKCNJ5変異が発生し,変異のない細胞とモザイクとなって副腎皮質を形成して,左右副腎の多発過形成を発生させたと推定された。

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