2019 年 36 巻 1 号 p. 29-33
単孔式腹腔鏡下副腎摘除術(LESS-A)の最大の利点は,整容性と満足度が優れている点であるが,患者からの主観的な評価がほとんどなされていないのが現状である。非患者による手術アプローチの嗜好調査では,女性および若年者で有意に臍アプローチを希望しており,整容性に高い関心を示していることを報告した。さらに,整容性,満足度および創部痛に関して,臍および上腹部アプローチのLESS-Aと,対照として従来法の3群間で,術後1,3,6,9,12カ月目に自己記入式質問票を郵送し縦断的に調査した。術後3カ月で,従来法は有意に満足度が低かったが,術後6カ月から,従来法の満足度は上昇するも,一方で上腹部LESS-Aでは低下した。術後9カ月以後は,上腹部LESS-Aは満足度がさらに低下し,従来法と比較し満足度は有意に低値を示した。LESS-Aを行う場合,満足度の点から臍アプローチは必須であると考えられた。