日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌
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特集1
内視鏡手術(吊り上げ法)
中条 哲浩南 幸次平島 忠寛佐保 葉月永田 彩子新田 吉陽夏越 祥次
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2020 年 37 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

保険収載により甲状腺内視鏡手術は普及期に入ったが,その特徴は送気法・吊り上げ法の違いだけでなく多彩なアプローチ法が存在することである。本稿では吊り上げ法の現状について述べる。

甲状腺内視鏡手術は吊り上げ法でも十分な操作腔の確保が可能であり,世界的にも吊り上げ法を採用する施設が多い。日本で行われている代表的な吊り上げ式内視鏡手術にはVANS法,VANS変法,腋窩法などがあるが,耳介後部アプローチや内視鏡補助下の小切開手術も報告されている。吊り上げ法の利点は,ミスト対策が容易,開創手術用器具も使用できる,ランニングコストが安価なことなどである。問題点は単項式手術に近く独特の鉗子操作であることと,送気圧によるoozing抑制効果がないため甲状腺表面の止血に難渋する場合があることである。吊り上げ法を含む各術式のBrush upにより甲状腺内視鏡手術はさらに普及すると考えられる。

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