2020 年 37 巻 1 号 p. 44-50
甲状腺穿刺吸引細胞診は甲状腺腫瘍の鑑別に必要な検査であり,低侵襲で安全な検査手技である。しかし,ときに緊急処置が必要な出血や急性のびまん性甲状腺腫大などの合併症が起こることがある。出血に関しては緊急手術が必要になったり,死亡例も報告されている。甲状腺穿刺吸引細胞診の合併症を細胞診に携わる医師をはじめ,臨床検査技師,看護師が十分理解することが重要である。合併症発症時には的確に対処することが,医療安全の面からも極めて重要となる。この章では,甲状腺穿刺吸引細胞診の主な合併症に関して概説した。