Official Journal of the Japan Association of Endocrine Surgeons and the Japanese Society of Thyroid Surgery
Online ISSN : 2758-8777
Print ISSN : 2186-9545
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2020 Volume 37 Issue 3 Pages 155

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今回の特集企画は【各診療科から見た甲状腺・副甲状腺疾患】です。皆様もご存じのように,日本内分泌外科学会には外科系では外科医(乳腺外科,甲状腺外科,呼吸器外科,消化器外科),耳鼻咽喉科医,泌尿器科医が参加し,毎年各疾患について熱い議論を重ねています。このように診療科を横断して異なる外科系医師が集まり,同一疾患について議論を重ねる学会は非常に稀有なもので,今回の企画対象となった甲状腺・副甲状腺疾患は先に示した外科系各診療科で扱ういわゆる境界領域疾患です。しかしながら,各診療科に集まる患者さんは診療科のバックボーンに応じて様相を異にしているように思います。泌尿器科は尿路結石を扱い,また慢性腎不全に対する血液浄化療法を日常診療で行うことが多いため,症候性の原発性副甲状腺機能亢進症や透析管理中に見つかる二次性副甲状腺機能亢進症が診療の中心となると思われます。乳腺外科では乳癌検診に見られるように体表超音波検査を得意とするので,その際に見つかる甲状腺・副甲状腺疾患が多いかと思いますし,抗癌剤や分子標的薬の取り扱いに慣れているように思います。一方,耳鼻咽喉科はノドを扱う診療科であることから頸部腫瘤や嗄声などを主訴として見つかる甲状腺疾患が多いと思われ,術後の音声・気道トラブルの取り扱いを得意としていると思います。しかしながら,これは私の個人的な臨床経験(私は耳鼻科医としてまず働き,その後外科医として乳癌診療や透析医療に携わっていました)と学会での発表を聞いてのぼんやりとした印象でした。今回,泌尿器科,乳腺外科,耳鼻咽喉科の先生方に各診療科が取り扱う甲状腺・副甲状腺疾患について所属する施設の現況なども含めて自由に書いて頂きましたが,私のこれまで持っていた個人的感想が比較的当を得たものであるが分かりました。一方で,各診療科によって同じ疾患であっても取り扱いに得手不得手があることも理解できたように思います。今後も互いのバックボーンを理解した上で相互に協力しあうことが日本内分泌外科学会の継続的発展につながるかと思います。

最後に,今回の執筆依頼の時期がコロナ禍の時期にかかってしまっていたために,執筆を依頼した先生方に大変な負担を与えてしまったことを深くお詫び申し上げます。また,本来,この特集記事に入るべきであった「呼吸器外科から見た甲状腺・副甲状腺疾患」の項目がないのは,コロナ禍の中で過重な負担がかかっている呼吸器外科医への配慮であったことも申し添えておきます。

 

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