食品と低温
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Gluten代替タン白質の検索に関する研究
(第6報) 大豆11Sグロブリンへの製パン性の変化とTrypsin Proteolysateの変化について
山本 淳西岡 ゆかり
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11 巻 (1985) 3 号 p. 65-69

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抄録

以上の結果を総括して要約すると,
(1) 顕著な製パン阻害を示す大豆11Sグロブリンが, 少量のレシチン, S. D. S., モノグリセライドなどの添加によって優れた製パン性発現に転ずる機作を明らかにする目的で, Endo TypeのProteaseによるProteolysisの変化として捉えこととし, 生成ProteolysateのFormol滴定値の差を指標として追跡した。
(2) 加熱変性前後のProteolysateのFormol滴定値差を指標に最適酵素の選択を行った結果, Trypsinが最も優れていた。
(3) 同様に加熱変性前後のProteolysateのFormol滴定値差から, 基質として凍結乾燥11Sグロブリンを選択した。
(4) 大豆11SグロブリンとTrypsinの組合せに関して, 試料基質中にTrypsin Inhibiterの存在の有無は, 前に行った11SグロブリンのS. D. S.-PAGEで該当する低分子量タン白質に相当する泳動バンドを全く欠くことから, その配慮は必要ないものとした。
(5) レシチン, S. D, S.の添加によって11SグロブリンのTrypsin ProteolysateのFormol滴定値は, 加熱変性ならびに未変性11Sグロブリンの場合の中間の値となり, これらの添加によって11Sグロブリンの分子形状に変化が起ったことを裏付けることができた。
(6) 加塩擂潰ゲル化11Sグロブリンの凍結保蔵では, 初期にはUnfoldingによるProteolysisの増大が認められたが, 保蔵期間が長くなるに従ってProteolysateのFarmol滴定値差が低下し, 遂にはマイナスを示すに至った0このことから, ゲル化11Sグロブリンの凍結保蔵による製パン性の向上は, 表面活性物質の添加とは明らかに異なる機作によって起ることを知り, 今後の研究の進展に重要な示唆を与える結果となった。

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