食品と低温
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Gluten 代替タン白質の検索に関する研究
(第2報) ゲル化大豆タン白質の凍結による製パン性の付与について
山本 淳
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8 巻 (1982) 4 号 p. 76-82

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抄録

以上の結果を総括して, 従来, 小麦グルテンの製パン性に対して阻害の方向にのみ働くとされてきた大豆タン白質も, これを予め加塩揺潰ゲル化の過程を経てある程度の分子形状に変化を起こさせた後, これを凍結保蔵することによって優れた製パン機能を付与できることを明らかにすることができた。そして, このような大豆タン白質の新しい機能が, 凍結保蔵中に進行する大豆タン白質問の-S・S-架橋を主とした分子会重合に基くものであることが強く示唆される結果をも得た。
一方, 大豆タン白質では, その構成要素としてのサブユニット構造, また, 7S, 11Sタン白質を主体とする構成要素は良く知られた事実である。すなわち, 今回, 新たに見出したゲル化大豆タン白質の凍結変性による製パン機能の付与が, 大豆タン白質の持つ基本的な性質である, その構造, 構成要素と何の様に関わり合っているのかは, 今後に残された重要な研究課題として良いであろう。
以上を要約して
(1) うるち米粉80%, 粉末小麦グルテン10%, 市販大豆タン白質10%より成る組合せ粉を基本組成として, 大豆タン白質に製パン機能を付与する方法について研究を行った。
(2) 従来, 小麦グルテンの製パン性を阻害する方向にのみ働くとされていた大豆タン白質を加塩播潰, ゲル化した後-5℃, -30℃で凍結保蔵することによって, 明らかに製パン性が大きく向上することを見出した。
(3) ゲル化大豆タン白質は, そのままで凍結保蔵するよりも, これを加えて調製したドウの状態で保蔵する方が良好な結果を得た。また, 保蔵は-5℃, 14日の凍結保蔵がゲル, ドウ共に最も良好な結果を示した。
(4) 凍結保蔵過程でのM/15-Phosphate Buffer (pH7.6) 抽出タン白質のSDS-PAGEP, また, 0.01M-2-Mercapto Ethano1, 1M-尿素添加Bufferへの溶出タン白質量の変化から, 凍結5日目ごろから始まる-S・S-架橋によるタン白質の会重合が製パン機能の付与に重要な因子となっていることが強く示唆された。なお, 凍結保蔵中の分子会重合は大豆タン白質間でのみ進行することも示唆される結果となった。

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