澱粉科学
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澱粉の膨化に関する研究(第4報)
各種澱粉の膨化について
杉本 勝之高木 正敏後藤 富士雄
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26 巻 (1979) 4 号 p. 241-252

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抄録

 澱粉の膨化現象を究明するため,各種澱粉の膨化と澱粉の物性との関係について検討した. 1)小麦,とうもろこし澱粉では加水量が多いほど,また糊の調製時の加熱時間が長いほど膨化品の容積が大となり,いずれの澱粉も調製温度が高いほど容積は大となった. 2)いずれの澱粉も45℃ の通風乾燥よりも自然乾燥の方が膨化品の容積が大となり,焼きでは変圧器の電圧が高いほど,油揚げでは油温度が高いほど膨化倍数は大となった. 3)既報の膨化試験法で各種澱粉の膨化性を測定した結果,膨化倍数は小麦,とうもろこし澱粉は3.0~3.5と小さく,米,もちとうもろこし澱粉が中程度で4.7~5.0,甘藷,サゴ,タピオカ,バレイショ澱粉が5.8~7.0の大きい値となった.硬さはもちとうもろこし澱粉が最低で3.0kg/cm2,穀類澱粉が13.0~14.Okg/cm2でやや高い値を示した. 4)膨化品の内部構造はバレイショ澱粉は気泡が大きく,ガラス状の非常に薄い膜になっているが,とうもろこし,小麦澱粉では糊のままで膨れていない部分が多くみられ,気泡の内部も繊維状の粗い組織になっている.また,糊を走査電子顕微鏡で観察した結果,膨潤,分散の度合から膨化現象をよく説明することができた. 5)澱粉の粘度,膨潤度,ゲルの弾性率などの測定結果と膨化倍数との間に密接な関係が認められた.これらの結果から,えびせんべい製造にパレイショ澱粉のみが用いられている理由について考察を行った. 終りに,本研究を行うにあたり,種々ご指導をいただきました東京大学名誉教授中村道徳博士,前農林水産省食品総合研究所長鈴木繁男博士,同所貝沼圭二博士,岐阜大学教授大橋一二博士,終始ご鞭睡をいただいた当所小山吉人所長,電子顕微鏡写真を撮影していただいた愛知県尾張繊維技術センター野田和彦主任研究員,工業技術院名古屋工業技術試験所松野外男技官に感謝いたします. なお,本報の概要は昭和53年度日本澱粉学会大会(東京)において発表した.

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