抄録
Aspergillus pager起源β-グルコシダーゼが,遷移状態基質アナログとされるグルコノラクトン(L)を取り込む反応をTrp-残基に基づく蛍光強度の変化を指標としてストップトフロー法により観測し,その機構を遷移相速度論に基づいて解析した.その結果,取り込み反応は,速い2分子過程(複合体形成)に遅い1分子過程(複合体の異性化)が続く2段階機構で解釈され,各速度論量K-1,k+2,k-2はそれぞれ0.98mM,360s-1,6.2s-1と評価された. そこで,本酵素のサブサイト構造に基づき取り込み機構を解釈した結果,Lは2分子過程でまずサブサイト2に取り込まれ,続く1分子過程でサブサイト1に移動すると考えられた.本反応系中に,1以外のサブサイトに取り込まれることが判明しているガラクトースを種々濃度に添加したところ,EL*複合体解離定数K -1が上昇する傾向がみられた.従って,ガラクトースは,Lのサブサイト2への取り込み反応を阻害していることになり,先のメカニズムを支持すると考えられた.