抄録
大阪盆地の地下水の涵養源と流動場をとらえるため、標高-300m以浅の地下水を対象に、水位分布、および地形・帯水層構造と地下水の酸素および水素の安定同位体比、トリチウム濃度、硝酸態窒素濃度、主要溶存成分の空間分布を調べた。地下水の酸素および水素の安定同位体比から、地下水は盆地の周りの山地と丘陵地や台地で涵養されていること、そして、帯水層中を通って、硝酸を盆地の標高-300mの地下深くまで輸送していることが明らかになった。いくつかの涵養域について、帯水層中の地下水の涵養速度や移動速度を概略的に見積ると、鉛直方向と水平方向について各々、2-9m/yおよび、0.1-1km/yと推定された。