地下水学会誌
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論文
愛知川扇状地における地下水流動と地下水温の形成機構
梁 熙俊小林 正雄三田村 宗樹
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2011 年 53 巻 2 号 p. 165-177

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抄録

滋賀県の愛知川扇状地において地下水流動系を明らかにするため、地下水位及び水温を調べ、地下水流動方向及び流速の推定を行った。浅層地下水温は、約13m以深で恒温層が現われ、その水温は右岸側で15.5℃、左岸側で約16.3℃と右・左岸で約0.8℃の差があり、扇頂部と左岸側の第II河岸段丘面では鉛直方向の地下水流動が卓越した。深層地下水温は、右岸側では、全体的に15.0∼15.5℃の水温を示し、左岸側では、表層部で16.0℃、中層部で16.5℃、深層部で17.5℃と深度の増すにつれ水温は上昇した。理論式から求めた地下水の水平流速は、浅層部は、右岸側で4×10-3cms-1、左岸側で3×10-3cms-1、深層部は、左岸側で7.4×10-5cms-1と評価された。また左岸側の扇央部域の地下(深度75∼100m)における難透水層の上向き鉛直流速は4月でvz=2.4×10-7cms-1、6月でvz=8×10-7cms-1と評価された。

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© 2011 公益社団法人 日本地下水学会
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