日本有数の農業・畜産地域である都城盆地を対象とし,深層地下水を含めた広域地下水流動系におけるNO3-の分布特性や地下水流動に沿ったNO3-濃度減衰プロセスを調べた。その結果,盆地西側の浅層地下水や,盆地西部および南部の中間深度および深層地下水において高いNO3-濃度を示すことが分かった。また,地下水流動に沿ったNO3-濃度の分布傾向としては,地下水流動の上流部では高濃度を示し,それより下流部にあたる地点で低濃度を示す地点が確認された。δ15N-NO3,δ18O-NO3 の測定結果を用い,地下水流動に沿う縦断面でのNO3-の自然浄化について考察した結果,地下水流動の中流部では希釈,下流部の中間深度および深層地下水では脱窒が生じていると考えられた。