2015 年 57 巻 4 号 p. 483-493
硝酸性窒素による地下水汚染が顕在化している長崎県島原市を対象として,農業集落カードを用いた窒素負荷ポテンシャルマップ作成の妥当性について検討した。農業集落カードによるポテンシャルマップは,航空写真から目視により畜舎や畑の分布を判別して作成した詳細なポテンシャルマップとも高い窒素負荷がもたらされる集落が整合する結果が得られた。作成された農業集落カードによるポテンシャルマップによると,窒素負荷ポテンシャルの高い集落の下流側では,地下水の硝酸性窒素濃度が高い傾向が窺えた。また旧市町村ごとの窒素負荷ポテンシャルマップの変化を調べたところ,1985年を境にポテンシャルの分布に変化が見られた。