2018 年 60 巻 3 号 p. 273-288
本研究では,開発を進める地盤情報推定システムにて地質の分布確率と固有透水係数の対数加重平均から平均透水係数を推定する手法を示す。本推定法を既存の揚水試験箇所に適用し,試験結果を最も再現する固有透水係数を最小二乗法により決定した。その際,地質を8区分した標準区分と地形・時代で細分した最多区分を設定し,地質柱状図から単純加重平均する従来法と再現性を比較した。その結果,本推定法は地質区分に依らず従来法より高い再現性を示した。また標準区分から最多区分へのステップ交差検証法により,地質の最適区分を決定した。最後に地質毎の固有透水係数と有効熱伝導率の関係から地下水流れを考慮した地中熱利用の可能性を考察した。