2019 年 61 巻 1 号 p. 47-54
東日本沿岸における津波堆積物の性状と地球化学的特性を中心に,津波堆積物に含有する重金属類や塩分の組成について表層土壌や海底堆積物と比較した結果について述べた。また,現場調査の結果として得られた各種分析データを用いてリスク評価を行い,地下水および土壌環境への影響について考察し,津波堆積物のリスク管理の在り方について検討した。津波堆積物では土壌と比べて砒素および鉛の含有量,溶出量が高く,地下水飲用の制限等が必要な場合もあった。一方,多くの場合では,所定のリスク管理を実施した後に津波堆積物を復興資材として活用可能であることが分かった。