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地下水学会誌
Vol. 47 (2005) No. 4 p. 419-433

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http://doi.org/10.5917/jagh1987.47.419


地下水汚染問題において.効果的な対策を進めるためには汚染領域進行の予測は重要である.本論文では.多変量解析を用いて地下水汚染メカニズムの推定を行い.その多変量解析結果を基に.三次元に比べ簡易で計算時間も少ない解析方法による濃度推移予測を目指して.平面二次元での数値シミュレーションを行った.
数値シミュレーションには.平衡吸着量と実際の吸着量の差によって生ずる吸脱着のポテンシャルを考慮した物質伝播支配方程式を用いており.その妥当性を確認するためカラム吸脱着試験を行った.実験結果は数値解とよく一致しており.吸脱着のポテンシャルを考慮した数値解析は実用可能な精度を有していることを確認した.
濃度推移予測を行った山形県東根市においては.1992年に3km2の範囲でトリクロロエチレン(TCE)による地下水汚染が確認された.同地域の地下水の賦存状況は複雑であると考えられることから.1993年に汚染機構1を解明するため51井戸について一般項目等水質調査を行い.多変量解析のクラスター分析により主要汚染井戸グループを分類した.その中から選定された井戸について地下水のモニタリングが継続して行われている.長期的な濃度推移をみると.濃度減衰がみられる水理系統とほぼ横ばい傾向にある2つの水理系統があると推測される.これらの井戸は同程度の深度にスクリーンを持っていることから平面二次元とみなし.非定常二次元で2つの水理系統に分けて数値シミュレーションを行った.解析結果は実測値と概ねの一致をみることができ.クラスター分析と平面二次元の数値シミュレーションを組み合わせた手法は有効であることが確認できた.また.本シミュレーションにより.当地域の環境改善予測が可能となった.

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