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地下水学会誌
Vol. 49 (2007) No. 3 p. 205-233

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http://doi.org/10.5917/jagh1987.49.205


本研究は,表層水・地下水の組成間の関係を総合的に検討するのに適した扇状地を形成している,神奈川県中央部秦野盆地の表層水と湧水を対象とした.
1998年8月-1999年10月までの期間中,研究地域内の土壌水・河川水・湧水の採取を毎月行い,それら試料の主要化学成分の測定を行った.
採取した湧水の時間変化から,降水量(地下浸透量)の多い月には多くのイオンで濃度上昇が見られ,降水量の少ない月には濃度の低下が見られた.この結果は地下帯水層への上部からの浸透水(表層水)の浸入・地下水との混合の影響を示すものと考えられた.人為的影響を示すCl-では,地下水水質に対して土壌水の影響よりも河川水の影響が大きいと考えられ,その河川水の最大浸透水混合比a=0.05程度とモデル計算より求められた.また,NO3-は肥料が添加された土壌水起源と考えられ,地下水に対する河川浸透水の割合が5%程度と見積もられ,一方,土壌水への降雨浸透水の混合割合は,50%程度と見積もられた.次に,主要カチオンの水質形成について,ここではNa+,Ca2+に関して検討を行なった.イオン交換および長石溶解カイネティックスに関するモデル計算より,土壌表層部ではイオン交換によるNa+卓越の状態から斜長石の溶解によりCa2+卓越の状態へと変化したと考えられた.また,地下水中Na-Ca濃度の変化と土壌水濃度の関係及びモデル計算から,浸透水中のNa+の約60%,Ca2+の約35%が表層土壌(深さわずか1m)において形成されると考えられた.

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