地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
地理学におけるルーラルツーリズム研究の展開と可能性
フードツーリズムのフレームワークを援用するために
菊地 俊夫
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ジャーナル オープンアクセス

2008 年 1 巻 1 号 p. 32-52

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抄録

 本研究は,農村地理学におけるルーラルツーリズム研究の将来的な展望と可能性を明らかにすることを目的とした。農村地理学におけるルーラルツーリズム研究は,農村の存在形態と関連して,ルーラルツーリズムの実態に関する静態分析から,ルーラルツーリズムがもたらした地域変化の動態分析へ,そして近年ではルーラルツーリズムによる農村環境の保全とその持続的な利用システムの分析に変化した。このような研究の潮流は,農村地理学が生産主義のフレームワークからポスト生産主義のフレームワークで議論されるようになったことと呼応している。ポスト生産主義のフレームワークでは,農村の多様な環境や資源が注目され,農村の多様性と多機能性が評価されている。ルーラルツーリズムの研究でも農村の環境や資源の多様性と多機能性を総合的に議論するフレームワークが必要になっており,本研究はフードツーリズムのフレームワークの援用を検討した。

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© 2008 地理空間学会
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