地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
ビッグデータは何を語るか?
地理学×ビッグデータの可能性とその将来展望
秋山 祐樹
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 12 巻 3 号 p. 159-178

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抄録

本稿は「ビッグデ−タは何を語るか?」と題し,ビッグデ−タを活用することで,どのような地理学的な研究,あるいは地理学に関連した研究が展開できるのか,その可能性を著者らによる二つの研究事例を通して紹介する。一つ目はデジタル電話帳を用いることで,日本全国の商業集積地域の分布と変遷を把握することが可能となった商業集積統計の開発とその活用事例,二つ目は自治体が保有する様々なビッグデ−タ(公共ビッグデ−タ)を用いた空き家の空間分布の推定について紹介する。また,「地理学×ビッグデ−タの可能性」についてその将来展望を論じる。そして最後に2020年代の「地理学×ビッグデ−タ」について筆者なりの展望を紹介する。ビッグデ−タの多くは空間と時間に関わる地理空間情報と言えるため,ビッグデ−タの分析・活用に関する研究に地理学分野の研究者が積極的に参入することで,多大なるシナジ−が期待される。そのため「地理学×ビッグデ−タ」の研究・教育を推進していくことで,2020年代の地理学は大いに発展できる可能性を秘めていると期待される。

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© 2019 地理空間学会
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