地理空間
Online ISSN : 2433-4715
Print ISSN : 1882-9872
シドニー大都市圏におけるアジア系留学生の居住分布の空間的特徴
中国人・インド人・フィリピン人・日本人留学生に着目して
阿部 亮吾
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2021 年 14 巻 3 号 p. 191-200

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抄録
本研究では,オーストラリア国家統計局(ABS)が提供するTableBuilder PRO機能を利用して,Censusデータからシドニー大都市圏における外国人留学生の居住分布パターンを出身国別に詳述した。その結果,大都市圏全体でみればインド人とフィリピン人留学生は郊外の特定都市に集住する傾向にある一方で,中国人と日本人は都心部での居住を志向することが見出された。とりわけ,人口規模の大きい中国人留学生が都心居住を志向する傾向は,シドニー大都市圏の成長をとらえるうえで重要な観点である。そこで,大都市圏の中心都市を構成するシドニー市とランドウィック市を取り上げ,SA1ごとにより詳細な居住分布の把握を試みた。それによると,大学キャンパスの集積するメインストリート周辺への居住は共通してみられたものの,中国人留学生の居住分布パターンはより広く,逆に日本人やフィリピン人,インド人は中国人の少ない地区に居住がみられるなど,留学生の居住地における緩やかなセグリゲーションの可能性が指摘された。
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© 2021 地理空間学会
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