日本在宅医療連合学会誌
Online ISSN : 2435-4007
原著
在宅復帰を目指す高齢患者の摂食・嚥下機能の回復への看護援助に関する研究 ─ 地域包括ケア病棟に勤務する看護師を対象とした調査から ─
前川 一恵桑田 惠子星山 佳治
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2020 年 1 巻 2 号 p. 10-17

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抄録

[目的]在宅復帰を目指す高齢患者の摂食・嚥下機能の回復への看護援助の内容を明らかにする .

[方法]地域包括ケア病棟に勤務する看護師 130 名を対象に , 摂食・嚥下機能の回復への援助 4 因子 43 項目に加えて , 在宅復帰に向ける食事への援助 3 因子 20 項目で構成した自記式質問紙調査を実施した .

[結果]摂食・嚥下機能の回復への援助項目で実施割合が最も高かったものは ,「患者の覚醒状況の観察」(95. 0%)であった . 在宅復帰に向ける食事への援助項目では ,「入院前の認知機能の情報収集」(90.0%)であったが ,【 患者・家族への食事指導 】は 50%以下が 4 項目あった . 実施割合が低い項目は , 食具に関する援助項目と , 作業療法士への相談 , 食前の唾液腺マッサージや口腔内のアイスマッサージであった .

[考察]患者の摂食・嚥下機能の回復を目指しては , 食具への知識や, 作業療法士との連携を増やす必要が示唆された. また, 高齢者が退院後も摂食・嚥下機能を維持していくためには , 患者・家族指導の実施割合を高める必要が考えられた .

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© 2020 一般社団法人日本在宅医療連合学会
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