2017 年 20 巻 p. 31-49
近年,高等教育のグローバル化の一つの現象として,国家や高等教育機関が地域レベルで共有する一つの大きな「透過性のある枠組」(Permeable Framework1))を発展させようとしている.そして,異なる教育環境の相互理解と公平な評価に基づく,学生が自由に行き来できる一つの高等教育圏を構築しようとしている.欧州地域で展開された「ボローニャ・プロセス2)」は,その代表例であり,アジア地域でも同様のリージョナリゼーションの発展を目指し,すでに20年以上前から,いくつかの変革が起きている.本稿では,「(仮称)アジア学術単位(以下,AACs3))」を中心とするアジア共通の単位互換制度がどう発展し,世界の学生の流動性にどう影響を及ぼすか,今後の可能性と課題について論じる.