大学が自主性・自立性を承認されるためには,社会に認められる教育の提供が必要になってきた.しかし,大学で行われる教育の全てに責任を持つことは簡単なことではない.日本においては教育に対するインセンティブが低いため,教育改革に消極的な教員もおり,改革が必ずしも全学的な教育の質の向上にはつながっていない.大学が教育の質を保証するためには,教育改革の取り組みを活かすシステムが必要であろう.その試みの一つである,茨城県立医療大学のコース制の統合型カリキュラムと一元的な教育の管理・運営システムでは,効率的な授業計画の策定や教育評価の透明化,明確化の進展などが確認されたことから,大学が社会にその教育の最低基準を保証する上で有効であり,責任ある教育の提供のために利用価値があると考えられた.