日本水文科学会誌
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総説
水文流出モデルを用いた流域からの窒素流出量推定
—現状と課題—
清水 裕太小野寺 真一松森 堅治
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2014 年 44 巻 4 号 p. 207-223

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抄録

流域の水循環および窒素流出量の推定に水文流出モデルを使用することが増えてきている。本稿では,これらのモデルを用いた流域からの窒素流出量の推定のために,モデル内の窒素動態プロセスの確認とその問題点について明らかにし,今後の課題を整理した。その結果,窒素輸送の駆動力となる降雨–流出モデルの適用方法,地下水,貯水池の扱い及びそこでの脱窒の扱いに改善の必要性が確認された。また,主に欧米で開発されたモデルであることから,水田での水循環プロセスや市街地からの浄化槽放流水等の概念が異なり,我が国の流域へ適用するにあたっては改善が必要であることが確認された。上記の問題点を踏まえると窒素流出における各プロセスの寄与率等の詳細な結果を求める場合には注意が必要であり,適用可能性の検討と共に,独自の改良や外部モデルとの連結が必要であると考えられる。

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© 2014 日本水文科学会誌
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