海底湧水が湧出している沿岸域で,赤外線サーモグラフィを搭載したドローンを用いて海水面温度を観測することにより,海底湧水の探査におけるドローンの有効性と問題点について検証を行った。温度計を用いて直接測定したところ,浅い場所で湧出している海底湧水の湧出場所の海水面温度と,周辺の海水面温度との差は3℃程度であった。ドローンを用いて空中撮影した海水面温度画像はその温度差を明瞭に捉えており,本調査法では,水深2 m程度の海底で湧出している海底湧水を発見することが可能であることを明らかにした。また,海底湧水が海水面温度に及ぼす影響の範囲は数m四方程度であることを確認できた。一方で,水深4~5 mの場所で湧出している海底湧水は,海水面温度画像からは確認することが出来ず,本調査法での海底湧水探査は,海底湧水の水温の影響が海水面に表れるような沿岸域の極浅い場所での適用に限定されることが示された。