日本水文科学会誌
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論文
富士山北麓,河口湖で新たに見つかった湖底湧水
山本 真也 中村 高志内山 高
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2017 年 47 巻 2 号 p. 49-59

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抄録

河口湖では従来,冬季の不凍箇所の分布から湖底湧水の存在が示唆されてきたが,その詳細な分布や起源についてはいずれも推定の域を出ないのが現状であった。本研究ではこうした河口湖の湖底湧水の実態を探るため,電気伝導度水温水深計(CTD計)による水文調査並びに水中カメラ及びソナーを使った湖底探査を行った。その結果,鵜の島の東約100 mの観測点で,周囲より水温が高く,電気伝導度の低い水塊が分布している様子が観測され,湖底からの水の湧出が推察された。また湖底探査の結果,上記観測点を含む半径約25 mの領域で,湖底に被泥が見られないなど,湖底湧水地によく見られる特徴を呈していた。更に,この場所で湖底直上水を採取し水の安定同位体比を測定したところ,その値は周辺の地下水に近く,この場所が湖周辺の山間部で涵養された地下水が湧出する湖底湧水であることが示唆された。

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