国際ビジネス研究
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統一論題
21世紀初頭の中国のアフリカ戦略
安室 憲一
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2017 年 9 巻 1-2 号 p. 5-18

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抄録

本稿では、中国のアフリカにおける資源・エネルギー開発戦略を中心に考察し、その特徴を明らかにするとともに、OECD先進国とのアプローチの違いを指摘する。また、アフリカの資源国に「中国式」の改革が持ち込まれた結果、公平な雇用制度が解体され、雇用の「非正規化」(casualization)が進み、労働条件や賃金が著しく低下している状況も明らかにしたい。確かに、中国による「アフリカ開発」により、一部の資源国の経済は活況を呈したこともある。しかし、2013年以降の資源・エネルギー価格の下落により、アフリカの資源国だけでなく、中国の国営企業もまた財政難に直面していると推察される。(1)はたして、「中国式」経済外交は中国政府が自賛するような「ウィン・ウィン」の成果をもたらしているのだろうか。ここでは、国際ビジネスの観点から「中国のアフリカ戦略」の具体的内容を吟味したい。ここでは、客観的な視点からアフリカにおける中国企業の活動を分析している国際機構の調査報告書や欧米の論文を中心に文献研究をおこなう。中国人(本国の)研究者の文献も参照しているが、往々にしてナショナリズムによるバイアスが見られる。また、中国政府は経済援助や対外直接投資に関する詳細な資料を公開していない(グロスの数字は提示しても、年度、地域、目的などの細目は不開示)。したがって、政府公刊の資料も参考程度にしか使えない。ただし、外国の大学に所属する中国人研究者の論文や資料は信頼性が高く、客観的な考察が見られる。また、アフリカ人の研究者やジャーナリストの論考に優れたものが見られる。参考にさせていただいた。

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